旅館では食べなかった「逢初」が忘れられなかった話

旅先のおやつ

旅館で出会ったお菓子

2025年11月。

愛する女性と熱海へ一泊二日の旅行へ出かけました。

車を熱海駅の近くの駐車場に止め、食べ歩きを楽しみラスカ熱海で昼食をとりました。

本屋さんや古着屋さんにも立ち寄りながら二人でのんびりと熱海の街を歩きます。

15時に旅館へチェックイン。

部屋から観える景色を眺めたり、写真を撮ったりしながら、ゆったりとした時間を過ごしました。

その後は、温泉に入り美味しい夕食をいただき、もう一度温泉へ。

旅館で過ごす時間を満喫し、その日は静かに更けていきました。

翌朝、朝食を終えて帰る身支度をしていると、彼女が部屋に置かれていた白木の茶器箱を開けました。

「なんか入ってる。お菓子とかお茶もあるよ」

そう言って、ティーパックのお茶とひとつのお菓子を手渡してくれました。

お腹いっぱい朝ごはんを食べて帰る時間も近かったこともあり、「家に帰ってから食べよう」

そう思い、お菓子とティーパックをバッグにしまいました。

その時はまだ、包みに書かれたお菓子の名前を見ることはありませんでした。

数日後、家から会社に持っていったそのお菓子とティーパックのお茶が、会社の15時のおやつで熱海旅行の余韻をもう一度運んできてくれるとはこの時はまだ思ってもみませんでした。

会社の15時のおやつで本当の出会い

旅行から数日後の朝、会社に出勤すると熱海から持ち帰ったお菓子をバッグから取り出し、机の上に置きました。

その日は、朝から現場や打ち合わせがあり15時前に会社に戻ってきました。

少し小腹が空いていたので、旅館から持ち帰ったティーパックのお茶を淹れました。

「どこのお茶屋さんのお茶だろう」

そんなことを思いながら、机の上に置いてあった和紙のような個包装のお菓子を手に取ります。

旅館では食べる機会がなかったそのお菓子を初めて開けました。

丸いお菓子をひと口。

中のうまっ

表面はほろほろ。

中はしっとりとした黄味餡が入っていて、ちょうどいい甘さが仕事の合間の体に染み渡ります。

思わず、

「これ、どこのお菓子だろう」

そう思って包み紙を見ると、

そこには「逢初」と言う名前が書かれていました。

そう言えば、旅館では名前まで気にしていなかったな。

「逢初」

その名前を知った瞬間、旅館で過ごした時間が静かによみがえりました。

旅は終わったと思っていました。

でも、本当はまだ終わっていなかったかもしれません。

「もう一度食べたい」と思った理由

会社で「逢初」を食べたその日の夜。

熱海で買った本の感想を話しながら、旅行の思い出をLINEでやり取りしていました。

その流れで、僕はこんなメッセージを送りました。

「宿から持って帰った『逢初』というお菓子、黄味餡が美味しかった。今度買いに行こうかな(笑)」

すると、彼女からすぐに返事が届きました。

「あのお菓子美味しかったですよね!!また熱海に行く時ならいいですね!」

同じお菓子を食べて、同じように「美味しかった」と感じていたことがとても嬉しかったのを覚えています。

旅行の思い出を振り返りながら、本の話をしたり、お菓子の話をしたり。

そんな何気ない時間も旅の余韻のひとつだったのかもしれません。

気がつけば「もう一度食べたい」

そんな気持ちになっていました。

忘れられない味をもう一度

「もう一度食べたい」

そんな気持ちのまま「逢初」は、どこで買えるのだろうと調べてみることにしました。

調べてみると、間瀬さんと言う老舗の和菓子店で網代本店のほか網代駅前店、ラスカ熱海店や熱海市内にも店舗があることが分かりました。間瀬 本店(菓子舗 間瀬

旅行から2週間後の土曜日。

代休を利用して、ドライブを兼ねて伊豆方面へ向かいました。

途中、お気に入りのパン屋さんへ立ち寄ってランチを楽しみ、そのあと北上して網代にある「間瀬本店」へ。

熱海旅行で出会った「逢初」をもう一度買うためです。

でも、理由はそれだけではありません。

熱海旅行の前日に完成・引き渡しをした耐震補強工事のお客様にも、この美味しさを届けたいと思ったのです。

数年前、市役所から委託を受けた無料耐震診断がご縁となり、今回の工事を任せていただきました。

約1ヶ月半にわたる工事が無事に終わり、その感謝の気持ちを込めて、「逢初」を手土産に選びました。

さらに、数日後に会う約束をしていた彼女の分も購入しました。

自分が「また食べたい」と思ったお菓子は、不思議と大切な人にも食べてもらいたくなります。

帰り道は、熱海の街を通りながら家へ向かいました。

車窓から見える景色を眺めていると、数週間前に歩いた熱海の街を思い出されます。

「逢初」を買いにきた一日でしたが、気づけばもう一度、旅の余韻に浸っていました。

旅は終わったと思っていました

旅は、家に帰ったら終わるものだと思っていました。

でも、「逢初」は違いました。

会社の15時のおやつ時間で初めてその美味しさを知り、彼女と「美味しかったね」と思い出を振り返りもう一度買いに行きお客様や大切な人へ届ける。

ひとつのお菓子が、旅の余韻を何度も運んできてくれました。

今でも「逢初」を思い出すと、あの日の熱海旅行の余韻が静かによみがえります。

だから、僕にとって「逢初」は、美味しい和菓子と言うだけでなく大切な思い出が詰まった特別なお菓子です。

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