お客様の家でいただいたおかき
その年にリフォーム工事をさせていただいたお客様のお宅へ、年末のご挨拶に伺った時のことです。
挨拶だけして帰ろうとすると「せっかくだから上がっていきなよ」と声をかけていただきました。
お言葉に甘えてお邪魔すると、お茶と一緒におかきを出してくださいました。
一口食べると、カリッとした食感と程よい塩味。
思わずもう一個と手が伸びてしまう美味しさでした。
名前の分からないおかきを探してみた
あまりに美味しかったので、
「これは、どこのおかきですか?」と聞いてみました。
すると、「奈良県のおかきだったかな。いただきものだから詳しくはわからないんだけどね」
と、商品名まではわからないとのことでした。
家に帰ってからもあの味が頭から離れませんでした。
もう一度食べてみたい。
そんな気持ちからGoogleで調べてみることにしました。
手掛かりは「奈良県」と「おかき」だけ。
それだけで見つかるだろうかと思いながらも、検索窓に「奈良県 おかき」と入力するといくつかお店が出てきました。
写真を見ながら記憶をたどっていくうちにあるおかきが目にとまりました。
高山製菓という会社のころもちというおかきです。
「たぶんこれっぽいな」
確信はありませんでしたが、見た目が似てたので思い切って取り寄せしてみることにしました。
たぶんこれだ!
後日、おかきが届きました。
袋を開けて早速一口。
その瞬間「これだ!」と思いました。
もちろん、お客様に確認したわけではありません。
でも、あの時にいただいたおかきの味を思い出すには十分でした。
それからというもの、気に入って何度か取り寄せるようになりました。
気づけば、自宅のおやつや仕事中のおやつとして常備することもあるくらい好きなおかきになっていました。
今度は渡す側になった
それからしばらくして、何度もリフォーム工事をご依頼いただいているお客様のもとへ伺う機会がありました。
いつも工事を依頼いただいているお礼に何か手土産を持って行こうと思いました。
どんなお土産がいいだろう。
そう考えた時に浮かんできたのが、お客様からいただき、自分で探し、気に入って何度も取り寄せしたあのおかきです。
これならきっと、喜んでもらえるはず。
そんな気持ちで手土産として持参しました。
「おかきはすごく好きだよ」
と、喜んでいただいてとても嬉しかった記憶があります。
お客様から教えていただいたおかきを、今度は別のお客様に渡している。
なんとも不思議な気持ちになったのを覚えています。
おかきを見ると思い出すこと
今でも時々取り寄せる、あのおかき。
でも、そのおかきを見るたびに思い出すのは味だけではありません。
年末のご挨拶で伺ったお客様のこと。
帰ろうとした僕を呼び止めてくれたこと。
「奈良県」と「おかき」の情報だけでネットで調べたこと。
おいしいおかきとの出会いでしたが、振り返ってみると心に残っているのは味だけではなく、その時の思い出の方かもしれません。
僕にとってこのおかきは、ただのおやつではなく、あの日のお客様との時間を思い出させてくれる特別なおかきなのです。

