気づけば、少し気になるようになっていました
最近、お菓子を買うときにパッケージの裏面を見ることがあります。
原材料名の砂糖の種類や使われている油などを。
以前の自分ならきっと気にしてなかったと思います。
お菓子は美味しければそれで十分。
実際、今でもその気持ちは変わりません。
ただ、振り返ってみると、ここ数年で食べるものへの見方が少し変わったような気がします。
健康のために何かを徹底しているわけではありません。
それでも、お菓子の裏面に書かれた言葉が気になったり、素材について考えたりすることが増えました。
それがいつからなのかは自分でもよくはわかりません。
でも、思い返してみるとそのきっかけになった人やお店との出会いがいくつかありました。
初めて知った、もうひとつのお菓子の選び方
今から数年前、リフォーム工事で通っていた現場の近くに小さなケーキ屋さんがありました。
工事期間中は、現場の近くの駐車場をお借りしていたのですが、その場所をお客様から説明をしていただいた時こんなことを話してくれました。
「ケーキ屋さんの裏に駐車場があるから、あのお店を目印にすると分かりやすいよ。ちなみにそこのお店おいしいし、店主さんがこだわっていて良いお店なんだよ」
それが、そのお店を知るきっかけでした。
工事期間中は、そのケーキ屋さんの前を何度も通りました。
駐車場へ向かうときも、現場から戻る時も、自然と目に入ります。
お客様から「おいしいお店だよ」と聞いていたこともあり、だんだん気になる存在になっていきました。
正直なところ「そんなに美味しいなら一度行ってみたいな」と思いながら毎日のように前を通っていました。
今思うと、工事よりもそのお店の方が気になっていたのかも知れません。
工事が終わって少し落ち着いたころ、気になっていたそのお店に行ってみることにしました。

白砂糖を使わないお菓子と聞くと正直なところ少し物足りない味を想像していました。
でも、実際食べてみるとその印象は変わりました。
てんさい糖という砂糖を使用しており、自然な甘さでとても美味しかったのです。
「こういうケーキもあるんだな」
そんな発見がありました。
それから何度かお店へ足を運ぶようになり、少しずつ食べるものへの興味も広がっていったような気がします。
しかし、その時はまだ自分のおやつ選びが変わるとは夢にも思っていませんでした。
スローカフェで聞いた印象的な言葉
それからしばらくして、別のリフォーム工事が決まった時の事です。
現場の案内図を確認していると、同じ敷地内にカフェがあることに気づきました。
気になって調べてみるとお客様のご家族が営んでいるお店だと分かりました。
以前に出会ったお店とはまた違う雰囲気でしたが、どこかまた惹かれるものがありました。
工事期間中はまた何度もその前を通っていましたが、仕事中ということもありなかなかお店に立ち寄る機会はありませんでした。
それでも、リフォーム工事でお宅に伺う中でお店を営まれているご家族の方と顔を合わせることがありました。
ほんの挨拶を交わす程度でしたが、そんな小さなやり取りもあってどこかお店にも親しみを感じていたのかもしれません。
工事が終わり、落ち着いた頃になってようやく足を運ぶことが出来ました。
まだ少し寒さが残る3月のことです。
その日は、体が温まるものを食べたい気分でした。
そこで注文したのが、自家製のカレードリアです。
しばらくして運ばれてきたドリアは、オーブンでぐつぐつ焼き上げられ湯気とともに食欲をそそる香りが広がっていました。
実は、ドリアを食べるのはその時が人生で初めてでした。
なぜか今まで食べる機会がなく、少し食わず嫌いなところもあったのだと思います。
でも、一口食べると素材のやさしい味わいが感じられてその美味しさに驚きました。
熱々のドリアのおかげで体も温まり、食事を終えるころ店主さんが声を掛けてくださいました。
「自宅のリフォーム工事、ありがとうございました」
ほんの短いやり取りでしたが、とても嬉しかったのを覚えています。
それから、お店のことや食べ物へのこだわりについて色々とお話を伺いました。
ヴィーガン対応やグルテンフリー、白砂糖を使わないお菓子や料理など、素材を大切にしていることも知りました。
そんな中で、店主さんが話してくれた言葉があります。
「全部が全部、健康的な素材を食べる必要はないんです。その中の一部でも、少し良いものを選べば良いんですよ」
その言葉を聞いた時、不思議と肩の力が抜けた気がしました。
何かを我慢したり、無理したりするのではなく、自分にできる範囲で取り入れていけば良い。
その考え方が、とても自分らしい気がしたのです。
その時はまだ気づいていませんでしたが、この言葉は後になって何度も思い出すことになります。
点と点がつながったおやつ時間
その後、仕事中のおやつとして高カカオチョコレートを食べるようになりました。
健康を意識して、甘すぎず少量でも満足感があるところが気に入ったからです。
そして最近、姉から貰った「ナチュリス」というお菓子を手に取った時のことでした。
裏面を見ると、「素材の恵みを生かすこだわり」、「白砂糖は使わず、てんさい糖を使用」、
「マーガリン・ショートニング不使用」、「なたね油」、「てんさい糖」を使用と書かれていました。
以前の自分なら、そのまま食べて終わっていたかもしれません。
でもその時は、「なたね油」という言葉が気になりました。
すると自然と、前述のスローカフェの事を思い出したのです。
店内に置かれていたなたね油や、店主さんとの会話。
さらに思い返すと、数年前に出会った白砂糖を使わないお店の事も浮かびました。
それぞれは別々の出来事でしたが、その瞬間に少しずつ繋がったような気がしました。
食べるものへの見方は、ある日突然変わるものではないかもしれません。
人との出会いや日々の経験の中で、少しずつ形作られていくものなのだと思います。
完璧じゃなくてもいい
スローカフェで聞いた話を今でも時々思い出します。
「全部を完璧にする必要はなく、その一部でも少し良いものを選べばいい」
当時は「なるほど」と思った程度でした。
でも、今振り返るとその考え方は少しずつ自分の中に残っていたような気がします。
僕は、今でもポテトチップスを食べますし、甘いお菓子も大好きです。
食べるものすべてに気を使っているわけではありません。
それでも、お菓子の裏面を見ることが増えたり、素材にも興味を持ったりするようになりました。
振り返ってみると、その変化は特別な出来事ではなく、お客様との出会いやお店とのご縁の中で少しずつ積み重なってきたものだったように思います。
おやつはただお腹を満たすだけのものではありません。
誰かに教えてもらったお店だったり、旅先で出会った味だったり、大切な人との思い出だったり。
ひとつのおやつの向こうには、人とのご縁やその時々の時間が詰まっています。
これからも無理をせず、自分なりのペースでおやつとの時間を楽しんでいけたらと思っています。
